生半可な気持ちで聞いちゃいけない、そんなドラマ。

百日の薔薇
CAST 井上和彦×千葉進歩

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領主でもあり機甲団の師団長でもある若き指導者タキ・レイゼン(千葉さん)には、影のごとく付き従う騎士がいる。容姿・体格、すべてがこの国の人とは異なるクラウス・フォン・ヴォルフシュタット(井上さん)は、敵国の人間でありながら、全てを捨ててタキに仕えていた。戦火の真っただ中に身を置く二人の間にあるものは、主従関係と信頼、そして・・・。


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進歩セメ和彦ゥヶという何か間違ってるような気がしないでもないBLCD「オヤジ拾いました。」のなかでちょこっと触れた、気合を入れて聞かなきゃならないドラマがこちらの作品。
架空の国でのお話なのでファンタジーと言えばファンタジーなんですが、戦争がファンタジックではなくリアルな戦争なので、社会派映画のような印象を受けます。

舞台となる国はかなり日本的、登場人物の名前は日本語です。
クラウスだけ異国人で、ファミリーネームと作中「サクソン人」と言われているのとで、意識してるのはドイツなんだろうなって感じ。
なので、架空の国が舞台なんですが、日本が島国じゃなくて大陸の一部だったら…と考えると舞台設定分かりやすいかも。
大陸の東のはずれで交易の拠点となる港をもつ小国で、西の国から領土を狙われてて、援助を求めた別の国からも侵略されそうになってる、といったところ。

その国のカリスマが進歩さん演じるタキ様、神代から続くといわれる一族の人です。
若い領主なんですが、その血筋から領民の絶対的な信頼を得ています。
千葉さんの声がすごーっく硬いです。
凛とした声も得意な役者さんですが、ここまで硬いのは他にないんじゃないかな?
そんなタキがふと見せる優しさとか弱さなんかが、耳から聞こえる声音だけで手に取るようにわかります。

そのタキに使える騎士が井上さん、低音で凶暴で擦れた感じのちょっと珍しい声音、かっこいいという一言では表せない色気があります。
クラウスは国も身分も捨ててタキにすべてをささげた男ですが、周りからは疎まれてます。
井上さんの声だけで、この人だけがこの国で異色なんだなってわかります。
井上和彦さんも千葉進歩さんも、いい意味で二人だけ作中で浮いてるんです、この演技はかなりすごい。

クラウスがこの国に来て半年、というのが物語スタート時点ですが、タキとの出会いはもっと幼いころ、親しくなったのはタキが留学していたころ、なので、現在の物語進行中に、過去話が入ってきます。
原作未読ですが、原作がそうなんでしょう。時系列が入り組んでます。
時間の前後がありますが、聞いててそれほど迷子にはなりませんでした、脚本がかなりしっかりしているんだと思います。
二人が関係を持つのが留学時代ですが、長く続いている割に殺伐とした濡れ場で、タキがなんで体を許してるのかが全然わかりませんでした。
無理やり体を開かれても、外では常にクラウスを従わせている、なんで?
2回目のベッドシーンなんか、ものすごい緊迫感で濡れ場を聞いているという感覚がなかった。
タキがクラウスを信頼してることは分かるんですが、それでこんな関係にしかならないの?許せって何を??と、頭の中疑問だらけ。
それが、濡れ場から続くシーンで一気に判明します。
聞き手に息つく間を与えてくれません、怒涛の展開で物語が進んでいきます。
一言一句しっかりと聞いてないと意味が分からなくなるから、流し聞きとかは絶対にできません。

でも、この物語が「気合を入れて」聞かなきゃならない本当の理由は、二人の緊迫した関係の背後で語られる戦争のせいです。
物語の視点がクラウス側からなので、聞き手も外からこの国を見てる感じですが、狂犬と呼ばれる男が戦争の悲惨さを語るのは重いです。
言葉で語られる戦争と、実際の戦闘シーンをごまかすことなく音にして、リアルを突き付けてくる。
このお話はBLドラマじゃなくて戦争の話なんだ、と花杏は捉えたわけです。
だから、「面白かった」とか「話に引き込まれた」っていう感想を言っちゃいけない気がする。
このCD聞いて何を言えるのか、正直花杏には感想の言葉が見つからない、だってどの言葉を並べても上辺だけにしか思えない。

戦争に真正面から取り組んだ原作者さんはすごいです。
普段BLを読まない人でも、このお話は受け入れられると思う、っていうかBL枠じゃないよこれ。
聞いてて濡れ場で緊張しかしないのも、BL枠じゃないからだ。
萌えはない、どこにもない一かけらも存在しない、だからそれを求める人が聞いても「?」で終わるんだと思う。

で。

なんでブックレットの裏表紙が獣耳付いた3頭身キャラなの?ここだけすっごい異色なんですけど・・・。

あと、作中「ローゼンメイデン」って単語が出るたび、アソータロー元首相もお読みになられたという可愛いお人形さんが出てくる漫画が頭をよぎるのはここだけの話ってことで…。

このCD終了後は無性に「オヤジ拾いました。」が聞きたくなります、お二人の平和な声聞いてラウ゛補充必須。よし、聞こう、1トラックだけでも聞いておこう。

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